2008/03/04

木下直人さんから(デファイエQのCBSソニー盤)

またまたいろいろ頂戴したのだが(ありがとうございます)、今回はCBSソニー盤の2枚を、木下さんがトランスファーしたものをご紹介。デファイエ四重奏団のCBSソニー盤のうち、リュエフ「四重奏のためのコンセール」、ティスネ「アリアージュ」、パスカル「四重奏曲」が収録された赤いLPは、私も中古盤を持っているのだが、まるでLPをそのまま聴いているような相変わらずの素晴らしい復刻で、感激!四重奏の録音に関しては、これ以上何を望めば良いというのだ!!

ジャケットの原寸大コピーを付けていただいたのだが、このLPに関しては初来日時(1975年)のバージョンと、再来日時(1978年?)のバージョンの2つがあるそうだ。左が再発盤のジャケットで、右が初期盤のジャケット。同一の赤い背景だが、メンバーの顔を良く見てみると、明らかに少しお年を召しているのが分かる。

マウスピースも変わっているなあ。たとえば、バリトンのジャン・ルデュー氏のマウスピースは初来日時はブリルハートのトナリンだし、ジャック・テリー氏のマウスピースに至っては世界に2つしかないと言われる、伝説の「ネジ一本で開きが変えられる」メタルマウスピースだが、再来日時はお二人ともクランポンのマウスピースに変更しているようだ。ちなみに、再来日時のLPには「Esprit Nouveau de france saxophone quartette」のタイトルが付与されている。

ちなみにどこかで聞いた話だが、こちらのLPの録音製作は、伝説の録音技師、アンドレ・シャルラン率いるCECE(Centre d'Enregistrement Champs-Elysee)への外部委託。つまりソニーにはマスターテープは残っておらず、存在するとすればCECEにあるはずなのだが、破産に伴う財務整理の際、無知な税官吏の手によってテープは全て海洋投棄されてしまったのだそうだ(!)。つまり、我々はもう、盤起こしによってしか、この録音を聴くことができないのである。なんとも残念な話だ。

もう一枚は、1978年の来日時に石橋メモリアルホールで録音された小品集。付与されたタイトルは、「L'art supreme du quatuor de saxophones」。この時だろうか、NHK-FMでエディット・ルジェの「四重奏曲」やフローラン・シュミットの「四重奏曲」を録音したのは。こちらの録音に関しても、またの機会にご紹介したい。さて、この小品集であるが、収録曲目は以下の通り。

J.S.バッハ - G線上のアリア
D.スカルラッティ - 3つの小品
L.ボッケリーニ - メヌエット
W.A.モーツァルト - アヴェ・ヴェルム・コルプス
R.シューマン - スケルツォ
P.I.チャイコフスキー - アンダンテ・カンタービレ
I.アルベニス - カディス
I.アルベニス - コルドバ
I.アルベニス - セヴィリャ
C.ドビュッシー - 小さなネグロ
C.ドビュッシー - 小さい羊飼い
C.ドビュッシー - ゴリウォーグのケークウォーク

どれもが、ミュール編のもの。こういう小品に取り組む機会は現在でも多々あるが、その全てのお手本となるような演奏だ。ミュールらの演奏よりもスタイリッシュで、しかしフランスの薫りをたっぷりと含んだ名演。古臭くなく、しかし淡白でもなく、こういった小品は、こんなスタイルでこそ演奏されるべきだ!と、聴きながら叫んでしまいそうになる。

個人的に一押しなのが、スカルラッティの「3つの小品」。サイコーです。現在で幅広く演奏される曲ではあるが、音楽的にはもちろん、技術的にもこの録音を超える演奏って、未だ存在していないのではないかな。

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